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CLUB 2023.12.14

インタビュー掲載 ソーダニッカ株式会社、リスパック株式会社との取り組みについて

こちらのインタビューは、ザスパクサツ群馬のクラブパートナー様へのインタビューを通して、クラブとの取り組み事例の共有や各パートナー様の想いを感じていただき、より良いパートナーシップを築くための参考にしていただくインタビュー企画です。

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今回のインタビューは、ザスパのエコスタジアムプロジェクトなどでザスパクサツ群馬をサポートされております、ソーダニッカ株式会社様と、リスパック株式会社様へのインタビューです。

インタビューはパートナーズシップの運営を行うPSI(プラスクラス・スポーツ・インキュベーション)が行っています。

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CHAPTER 1 はじめに

CHAPTER 2 パートナーになったきっかけ

CHAPTER 3 具体的な取り組み内容と効果

CHAPTER 4 取り組みを通じて感じた課題

CHAPTER 5 今後の展望

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CHAPTER 1 はじめに

PSI:はじめに、みなさまの自己紹介からお願いします。

八角氏:ソーダニッカ株式会社の八角亮介と申します。素材産業営業部の素材産業第一グループでマネージャーをしています。

筒井氏:同じく、素材産業営業部素材産業第一グループの副主事を務めている筒井毅と申します。

和田氏:リスパック株式会社の和田政徳と申します。営業本部副本部長兼、バイオ営業部 部長を務めています。

山田氏:同じく、営業本部バイオ営業部バイオ営業チーム、東京駐在のチームリーダーを務めている山田裕子と申します。

伊藤氏:ザスパクサツ群馬、営業部課長の伊藤崇浩と申します。

PSI:ありがとうございます。まず、ソーダニッカさんはどのような事業を行っている企業なのでしょうか。

筒井氏:ソーダニッカは、化学品を扱う専門商社です。とくに苛性ソーダ製品のシェアは国内トップクラスで、他にも合成樹脂や薬品などの取り扱いを行っています。1970年に「曹達商事株式会社」と「新日化産業株式会社」が合併し、現在の社名になりました。

PSI:リスパックさんの事業についてもお伺いできますでしょうか。

和田氏:リスパック株式会社は、1953年創業の「岐阜プラスチック工業株式会社」を親会社とする岐阜プラグループの一社です。グループではコンテナやパレットなどの物流産業資材から、日用品、建築土木資材、スポーツ資材など、さまざまなプラスチック製品を扱っており、我々リスパック株式会社はその中でも食品包装容器を取り扱っています。

CHAPTER 2 パートナーになったきっかけ~環境問題に対する想いが一致し、パートナーに~

PSI:ソーダニッカさんがザスパさんとのパートナー契約を行い、今回9月3日(日)にザスパのホームゲームで開催された「SDGsデー」での取り組みに伴ってリスパックさんも参画されたとのことですが、ソーダニッカさんがザスパさんとパートナーになられたきっかけをお伺いできますでしょうか。

筒井氏:僕自身、もともとサッカーをやっていたこともあり、サッカーを通じて何か仕事ができないかなと考えたのが最初でした。当社は環境問題に対する課題感を持っており、サッカーを通じて課題解決につながる取り組みができないかと考えていました。その際、Jリーグと環境省が連携協定を結んだことを知り、地域でのSDGsに関わる取り組みの観点から、自社の技術や知識をより世間に浸透できればと思ったんです。そこから、よりよい循環をつくっていきたいと考えました。

PSI:なるほど。ザスパさんをパートナーに選んだ決め手は何だったのでしょうか?

筒井氏:Jリーグの中でもさまざまなクラブチームを検討しましたが、ザスパさんの「ザスパエコスタジアムプロジェクト」実施など、環境に対する取り組みに特に感銘を受けたんです。伊藤さんとの対話を重ねるごとに、我々とニーズが一致すると感じてパートナー契約を結ぶことにしました。

PSI:リスパックさんは、今回どういった経緯でこの取り組みに参画されたのですか。

和田氏:我々の会社も、以前から環境に対する取り組みに力を入れていました。私が入社した1992年頃には、環境負荷を考慮し、塩ビに替わる透明容器としてPET素材をいち早く導入しています。また、2000年代には微生物を活用して分解できる生分解性プラスチックPLA素材を導入するなど、新しい素材の開発を続けてきました。ソーダニッカさんから今回の取り組みについてお話を伺い、自社の持つ技術を活かせるのではないかと考えて参画を決めました。

PSI:リスパックさんは以前から、環境問題に対する課題感があったのですね。

和田氏:そうなんです。諸外国では生分解性の容器が普及している国もありますが、日本では焼却処分率が高く、まだまだ普及していないのが現状です。生分解性の容器が優れているのはわかっていても、それをともに普及していくためのパートナーに出会えていないことが大きな課題でした。これまでも単発での実証実験はありましたが、今回この3社なら永続的な取り組みに挑戦ができると感じました。

PSI:2社との出会いを通じて、ザスパさんも理念を体現できる機会が得られたのではないでしょうか。

伊藤氏:そうですね。Jリーグ全体としても30周年を迎えた今年、全公式戦でカーボン・オフセットを実施するなど、環境問題に対する取り組みを強化しています。ザスパクサツ群馬としても、地域貢献活動「ザスパの恩返しプロジェクト」を軸としてSDGs実現、および脱炭素社会の実現に向けた活動に注力する必要があると考えました。2社さんとの対話を進める中で、取り組みのきっかけをいただけましたし、3社が協力すれば課題解決につながる体制を整えることができると思ったんです。地域社会のハブとしてスポーツチームを活用いただけたというのは、我々にとっても大きな成果だと感じています。

 

CHAPTER 3 具体的な取り組み内容と効果~「SDGsデー」を通じて、サポーターの環境意識の高さを実感~

PSI:9月に開催された「SDGsデー」について、具体的な取り組み内容を教えていただけますでしょうか。

筒井氏:生分解性を有する循環型プラスチック「PLA」を活用した食品容器を使って、協力いただける飲食店さんにスタジアムグルメを提供いただきました。さらに、提供だけでなく、スタジアムにエコステーションを設置して容器の分別、回収も行いました。本来は回収した容器を業者さんにお願いして堆肥中で生分解するところまでやりたかったのですが、まずは時間の都合もあった為、導入~回収までを目標にトライアルしてみることにしたんです。

PSI:どれくらい回収できたのですか?

筒井氏:全体の回収率としては3割くらいでした。有人のエコステーションにおいては、ザスパさんや飲食店さんの呼びかけもあり、ほぼ100%分別はできていました。また、今回は展示ブースも設置して来場者のみなさんに生分解性についての説明を行った他、ザスパさんのアイデアでスタンプラリーを実施してサポーターのみなさんと関わる機会もいただきました。

PSI:サポーターのみなさんからは、どのような反応がありましたか?

筒井氏:みなさんすごく興味を持っていただいて、容器が変わったことに気づいてくださる方もいました。エコステーションの場所もみなさんご存知で、環境に対するサポーターさんの意識の高さを感じることができ、とてもうれしく思いました。サポーターさんや飲食店さん含め、みなさん前向きに参加していただくことができたと感じています。

山田氏:やはり、これまでザスパさんが取り組まれてきた素地があるからこそ、こうした取り組みを実施しやすい環境があるのだなと感じました。プラスチックを循環利用するにあたっては、2つのポイントがあります。まずはしっかりと回収すること、次に堆肥化業者を見つけること。これまでの自社の取り組みでは、回収するところで躓いてしまっていました。ですが、今回「ザスパクサツが好き」「サッカーが好き」という共通の想いを持った方たちが集まる場所では、みなさんの協力度合いも非常に高いと感じましたね。

 

CHAPTER 4 取り組みを通じて感じた課題~容器回収を行うための仕組みづくりが課題に~

PSI:みなさんの環境に対する意識の高さを実感できたとのことですが、この取り組みを通じて見えてきた課題はありますか?

八角氏:有人エコステーション以外の場所では、あまり分別・回収ができなかったことが課題です。その課題を解決するためにも、どれだけ回収できるかが、本当に大事なことだと気付かされましたね。みなさんが楽しんで分別できて、それを回収できる仕組みをサポーターのみなさんも巻き込んで考えていくことが、我々3社の使命じゃないかと感じています。

伊藤氏:たしかに、みなさんの意識の高さは感じましたが、ポジティブに、自発的に分別していただくための訴求がより必要だと感じました。回収率3割というのがわかったとき、もっと上げていきたいと思いましたね。そのための仕組みづくりとして、例えば人を配置したり、インセンティブをつけたりするなどの施策を検討すべきだったと考えています。もう一つは、出店者さんのケアが足りなかったことも課題です。忙しく販売・提供されている中ではなかなか難しいと思いますが、分別の協力をお願いできるような仕組みを一緒に考えていく必要があると感じました。

PSI:スタジアムではおいしい食事を提供するお店ばかりなので、飲食店さん側もお客さんの対応で忙しいと思います。その中で、回収までできるよう意識を向けるには、よりこの取り組みが浸透するような工夫が必要になりそうですね。

和田氏:ものづくりの観点からは、容器に色をつけることや、ラベルやマークなどをつけることで生分解性の容器だと判別できるよう、全ての人にとってわかりやすい分別ができる工夫が重要ではないかと思います。長期的な視点を持って、継続して取り組んでいく必要があると思いますね。

八角氏:そうですね。サポーターさんへの訴求という部分では、回収ボックスの形を変えたり、大きな張り紙を掲示したりして、周知していく必要があると思います。加えて、「この容器を回収して堆肥化できたら、こう生まれ変わるんだ」という循環サイクルを知ってもらうことも大切ですね。

 

CHAPTER 5 今後の展望~群馬から次世代に向けた新たな挑戦を~

PSI:課題感はありつつも、サポーターさんたちの環境意識が高く、次につながる取り組みになったのかなと感じました。

最後に、今後の展望についてお伺いできますでしょうか。

筒井氏:実は、リスパックさんの容器をつくっているのは伊勢崎市のリスパックさんの工場なんです。群馬県でできたものが群馬で消費され、群馬で回収・堆肥化されて、群馬の中でまた何か別のものに生まれ変わったらいいなと考えています。例えば、生分解に使用した堆肥をスタジアム内で活用するなど、群馬を中心に地産地消のアイテムを作り上げて、「ザスパモデル」として他県に、さらには世界中に展開していきたいです。

八角氏:「生分解性」をキーワードに、今後はタオルやレプリカユニフォームなど、さまざまな製品開発につなげていきたいです。まずは群馬県からスタートして、ザスパさんやリスパックさんとともに、課題解決のための施策を続けていけたらと思います。ゆくゆくは我々3社だけでなく、パートナー同士の横のつながりもつくっていきたいですね。

和田氏:今回の取り組みは当社にとって初めてのことでしたので、最初は本当にできるのか正直不安もありました。浸透するまでもう少し時間はかかると思いますが、今回挑戦したからこそ、さまざまな課題も見えてきました。その課題を基に堆肥中での生分解まで行うことができれば、今後循環サイクルができてくると考えています。我々はもう一歩進んで、より使いやすい、分別しやすい容器の提供を目指していきたいです。

八角氏:近年では、小学校でもSDGsの取り組みが盛んに行われています。スタジアムにはお子さんも多く来場されるので、お子さんに向けたイベントなどを企画してきっかけづくりをするのもよいと思いますね。

PSI:たしかに、次の世代に協力してもらうというのも、取り組みを継続していく上では重要ですね。ザスパさんは今後の展望をどのようにお考えですか?

伊藤氏:来期、2024年シーズンはさらに取り組みを増やしていきたいと考えています。もしかしたら、その過程で新たな課題も見えてくるかもしれません。その度に、みなさんと共有したり、解決のための新しいパートナーさんを見つけたりしながら、「SDGsデー」をはじめとするエコスタジアムプロジェクトをより拡大していきたいです。我々がパートナー企業さんに対してできることも引き続き、意識していきたいですね。

また、今年伊勢崎市と包括連携協定を結んだので、地元企業さんや伊勢崎市民の方とのつながりもつくっていきたいと思っています。広い視野を持って、挑戦していきたいです。

PSI:今回はとても先進的な取り組みのお話を伺うことができました。ありがとうございました。