GAME SCHEDULE / RESULT

試合日程・結果

GAME RESULT 試合結果

2025明治安田J3リーグ 第23節

HOME

ザスパ群馬

群馬

2025.08.16 SAT 19:03 KICK OFF

正田醤油スタジアム群馬

2

2 0

0 0

0

試合終了

AWAY

FC大阪

FC大阪

GOAL

  • 99 山田太郎 99'
  • 32 河田篤秀 10'
  • 22 高橋勇利也 24'
  • 99 山田花子 99'

あの日の記憶をかき消してこそ――
“宿敵”から逆転昇格への1勝目を


3週間のサマーブレイク明けとなる今節、ここからの巻き返し、そして上位浮上を誓うザスパ群馬は、ホーム・正田醤油スタジアム群馬にFC大阪を迎える。現在2位につける相手に対して臆せずに挑み、再開初戦を勝利で飾りたいところだ。

この中断期間中、チームはスタイルの突き詰めに加えて、守備の確認にも多くの時間を割いてきた。“超攻撃的サッカー”を掲げる中、22試合を終えて30得点34失点と得失点差がマイナスになってしまっている現状を踏まえ、改善に努めてきた。沖田優監督は「これまでで一番、守備のトレーニングに時間を使いました」と話し、失点の減少に意欲をのぞかせる。

チームで唯一、リーグ戦全試合でピッチに立っている西村恭史は「一番試合に出ている身としては申し訳ない気持ちと悔しい気持ちがあります」と、現状に対して素直な感情を吐露しながら、守備の改善に前向きな姿勢を見せる。

「攻撃の時間をより長くするためには、戦うところや切り替えのところをもっと上げないといけないという話は(この中断期間中に)すごく出ました。切り替えの部分などはすぐに変わるところではないですけど、意識の面では中断前よりも良い意識で練習はできたと思うので、そこを大事にしながらやっていきたいです」

ただ、誤解してほしくないのは、決してここから戦い方を守備的にシフトチェンジするということではないということ。あくまでも貫くのは、攻撃的なマインド。自分たちの攻撃の時間を1分でも1秒でも長くするために、ゴールに迫る数を1回でも2回でも増やすために、守備面を見つめ直してきた。

その取り組みをぶつける相手として、今回立ちはだかるのは、パワーとフィジカルを生かしてシンプルにゴールへ迫るスタイルで勝点を積み上げてきているFC大阪。この名前を聞いて、誰もがすぐに思い出す試合が群馬にはある。

4月の前回対戦は、当時首位に立っていたFC大阪に対して前半、圧倒する内容を披露して2点を先行。しかし、修正を施してきた相手の圧力に後半は呑み込まれて2失点。それでもそれ以降は耐え、90+1分に勝ち越し点を奪い劇的勝利かと思った矢先に、90+2分と90+3分に連続失点。まさかの逆転負けを喫した。

とても大きなダメージを負う敗戦を味わったと同時に、改めてこのスタイルで戦っていく覚悟が決まった試合から約4カ月、やられたままでは終われない沖田ザスパのプライドが問われるゲームとなる。

「前回対戦はファン・サポーターにとっても、自分たちにとっても忘れられない試合だと思います。その相手に対して、今回は違う内容を示して結果を出せれば自信につながると思うし、これからにつながっていくと思うので、そこに対するどん欲さはみんな持っています」(高橋勇利也)

目標のJ2昇格に向けて、もう落とせるゲームは1つもない。“宿敵”から久しく遠ざかってしまっているホームゲームでの勝利をつかみ、反撃の号砲としたい。

文:須賀大輔(エル・ゴラッソ群馬担当)


沖田 優監督
Q.この3週間の中断期間は、どういうことに取り組んできましたか。
「自分たちがやってきたことを継続して向上させる部分と、もっともっと強度を上げてあらゆるチームに対応できるように成長しないといけない課題の部分ですね。そこはこれまでもやってきてはいましたけど、そこをより強調してきました。また、この期間を利用して少し守備の部分にもフォーカスして、今までの失点場面や課題を含めて取り組む時間をある程度作ってやってきました。良い時間になったと思います」

Q.試合をやってみての部分が多いと思いますが、取り組んできたことの手ごたえはいかがでしょうか。
「自分たちの考え方は変わっていないですが、継続して同じ方向を向いてやってきました。その中で、課題を解決してレベルアップできればもっと強くなれるという意味では、すごく高い集中力を持ってこの暑さの中でもやってくれたので、良いレベルアップはできたと思います。ここからの試合でしっかりとそれを表現できればいいなと思います」

Q.残り16試合、ここまでやってきたことを結果につなげていく作業が大事になると思います。
「実際に、ここまで方向性はブレずに成長してくれていますけど、結果を見れば22試合で34失点と、30得点の得点よりも失点のほうが上回ってしまっています。守備力の向上のところでも、いま積み上げている部分を後半戦では少しずつ出せていると思うので、残りの試合に関しては失点数よりも得点数を多くしていき、ここまで多くなってしまっている引き分けの数を勝利に変えていけるようにしていきたいです。それをイメージしてこの中断期間は取り組んできたので、(再開初戦の相手となる)FC大阪は良いチームですけど、ホームで戦えますし、何とか勝利という形でリスタートできればと思います」

Q.以前から掲げているように、得点を増やして勝利につながるゲームを多くしていきたいということですよね。
「どうしてもトラブルやアクシデントなどで毎試合、失点をゼロにすることは簡単ではないです。だからこそ、得点を常に先行させながら、たとえ1失点はしても最後は勝って終われるゲームが増えればいいと考えています。また、同時に強度の面も含めて体力面も継続して積み上げてきています。どうしても終盤での失点が多く、そこも大きな1つの課題ですので、終盤での失点は減らしていかないといけないです」

Q.勝ち切る力を上げるために大事になると考えていることを教えてください。
「現状、ボールを握る時間、クロスの本数、ペナルティーエリア内に入れている回数、チャンスの数とか、そういう数字では全部上位なのに、肝心の得点数ではリーグトップではありません。それならば、得点数を増やしていくことが大事だと思います。決め切る力や精度も必要ですし、そうするためには作りの段階や中盤での単純なミスを減らしてプレー精度を上げないといけないですけど、同じ決定力でもチャンスの数をもっともっと増やせれば得点は増やすことができると思います。そのためにはサッカーのベースの部分が大事であり、そこが高まれば攻撃の時間がもっと増えると考えれば、もちろん決定力は明確な課題ですけど、決定力だけを上げればいいという話ではなく、決定力が同じでもゴール数が増えるような構図を作れればと考えています」

Q.FC大阪との前回対戦は今季の中でも最も悔しかったゲームだと思います。
「本当にそうですね。もちろん負けは負けなのでほかの試合の負けも悔しい試合はいっぱいありますけど、アディショナルタイムの2失点で敗れたのでかなりインパクトは強かったです。あの試合は平日のデーゲームなのに多くのファン・サポーターが来てくれて、円陣まで組んでくれた中で最後の終わり方が終わり方だったので悔しさしかないです。それは今週のミーティングでもみんなで再確認しました。選手たちも悔しさを思い出したような目をしていましたし、全員にインパクト強く記憶されているぶん、今節でしっかりと良い思い出に変わる試合ができればいいと思います」

Q.ただ同時に、あの試合以降は6戦負けなしを記録するなど、「このスタイルでやっていくんだ」と、あらためて覚悟が決まった試合でもあったと感じています。
「勝ってこそにはなりますけど、あのときに大きく見えた課題はあるので、振り返ってみれば、あの試合があったから今があるような試合をしないといけないと思います」

Q.今節は再開初戦であり、残りのシーズンを占う上でも重要度は高いと思います。
「夏休みのホームゲームであり、『夏ザスパ』というイベントもあり、相手がFC大阪と、それだけでも十分に重要なゲームだと思います。そのほかの試合と同じとはとても思えない、重要な試合だと認識しています」


MF 7 西村 恭史選手
Q.この中断期間に取り組んできたことについて。
「中断前(前節・鹿児島ユナイテッドFC戦)も競り負けてしまったので、攻撃はもちろんですけど、その攻撃の時間をより長くするためには、戦うところや切り替えのところをもっと上げないといけないという話はすごく出ました。リフレッシュしながらも全員で厳しい練習を行い、切り替えの部分などはすぐに変わるところではないですけど、意識の面では中断前よりも良い意識で練習はできたと思うので、そこを大事にしながらやっていきたいです」

Q.チームで唯一の全試合出場で最長のプレー時間を誇る立場として、ここまでの結果をどう受け止めて、残りの試合につなげていきたいですか。
「自分が一番試合に出ていて、もっと点を取れたシーンもあると思うし、戻れていたらボールを奪えていたというシーンもあったと思うので、一番試合に出ている身としては申し訳ない気持ちと悔しい気持ちがあります。もちろん、勝った良い試合もありましたけど、その試合が少なく、悔しい試合が多かったので、個人的には中断期間にそういうことを意識しながらトレーニングを積んできました。中断明けから、チームを助けるようなプレー、点を取ったり鼓舞したりというプレーをもっと増やしていければチームの勝敗は変わってくると思っています」

Q.積み上げてきたスタイルをどう結果に結び付けていきたいですか。
「(後半戦に入り)どの相手も修正や自分たちに合わせた守り方をしてくると思いますけど、相手がどういう戦い方をしてきたとしても、技術や積み上げで相手を上回ることが大事だと思います。どれだけ警戒されても勝つチームが上に上がっていくと考えれば、ここから連勝できればまだまだ一気に上に行けると思うので、そのためには何か新しいことをやるというよりも積み上げてきたものをさらにやり続けることを意識してやっていきたいと思います」

Q.今節の相手・FC大阪との前回対戦は記憶に残っていると思います。
「(チームとして)今季で一番悔しかったと思うし、個人的にもすごく悔しい試合で、ああいう試合で勝てないからここにいるというか、最後に追いつかれるような試合が多いので(※FC大阪戦は追いつかれて逆転された)、一番印象に残っています。それはみんな同じ気持ちだと思うので、いつも以上にしっかりと戦いたいと思います」




DF 22 高橋 勇利也選手

Q.この中断期間で取り組んできたことについて。
「課題を振り返りつつ、新しいことにもチャレンジしていく中で、チームとしてもっとできることがあると、選択肢や可能性を増やせた時間になったと思っています」

Q.ここまでの22試合は、内容に手ごたえをつかみつつも結果につながり切らない試合が多かったと思っています。
「自分たちからみても、ファン・サポーターや関係者から見ても、そういう評価になるのは間違いないと思いますし、それは自分たちが一番分かっています。自分たちのサッカーを表現する中でどう勝負強くなっていくか。自分からすれば、練習でもまだまだ甘い部分は多いです。戦術や技術どうこうの前に全員の意識がどのレベルなのか。そこはずっと上げていかないといけないと言っていますけど、この段階でまだ上がっていないようでは甘いですし、自分が示すしかないと思っているので、自分が引っ張っていきたいです」

Q.再開初戦となる今節・FC大阪戦はどういうものを見せたいですか。
「FC大阪は自分たちとは真逆のスタイルですけど、それで勝点を積んでいますし、なんといっても勝負強さを発揮しています。どっちが良いサッカーかを決めるのは勝敗であり、勝ったほうが良いサッカーになると思うので、そこの部分では絶対に負けられないです。パワーを持った相手にパワーだけでぶつかるのではなく、どういなしていくか、どう勝負どころを見極めていくかが必要になってくると思います。ただ、随所で戦う部分は絶対に出てくると思うし、そこで負けないではなく、球際で勝ってマイボールにするところが勝利につながると思うので、キワの部分を大事にしたいと思います」

Q.後半アディショナルタイムに逆転を許し、3-4で敗れた前回対戦は記憶に残っていますよね。
「自分はベンチから見ていましたけど、ファン・サポーターにとっても自分たちにとっても印象深いというか、忘れられない試合だと思います。でも、その相手に対して今回は違う内容を示して結果を出せれば自信につながると思うし、これからにつながっていくと思うので、そこに対するどん欲さはみんな持っています。だからこそ、勝ちたいです」

Q.やるべきことは分かっているだけに、それをどれだけ出せるかの試合になりますね。
「前回対戦時の前半は、前半戦の試合の中でも一番良かったのではないかと思えるくらい良い試合をしていたのですが、後半は相手がメンバーや戦術を変えてきた中で圧倒されてしまって勢いを奪われた試合でした。正直、そういう試合はこれまでも多くありますし、逆に前半はダメで後半が良くなる試合もありますけど、前半に良い内容を示した上で後半にどうギアチェンジしていくかが大事になります。たとえ前半に先制しても、後半も同じように進めれば相手のパワーに圧倒されてしまいます。松本山雅FC戦(第19節/3○1)のように、相手に退場者が出ましたけど、後半にギアを上げたことで相手を圧倒し続けられたと思います。こういうサッカーをしているからこそ、夏場は相手を走らせて疲弊させることができると思うので、90分を通じて自分たちがギアを上げたまま試合をできるかが大事だと思っています」

Q.今節から残り16試合が始まります。
「もちろんずっと優勝を目指してやってきましたけど、今の自分たちにできるのは目の前の一試合一試合を戦うことだけです。自分は『このサッカーをやって、上に行きたい』と思っているので、その思いや姿勢をどう勝負につなげていくかが大事だと思います。後半やアディショナルタイムが大事なのも分かっていますけど、そこまでに達する前半からの戦い方が積み重なるので、前半の最初の1分から自分たちがどう行動するべきか考えてやっていきたいと思います」


FW 38 小西 宏登選手
Q.現在の状態について教えてください。
「自分の中でも徐々にコンディションは上がってきていると思います。走力やボールフィーリングのところでは復帰明けはうまくいかないところもありましたが、今は感覚も良くなってきて、けがする前のようにチームに貢献できればと思います」

Q.離脱中はチームをどう見ていましたか。
「試合に出させてもらっていた立場で、外から試合を見る機会はなかったので、見てみて、勝てそうな試合、技術が高いなと思うプレーはたくさんありましたし、チーム全体の技術力はJ3の中でも優っている部分が多いと思いました。でも、誰が見ても分かるように最後のキワのところでゲームを落としてしまったり、勝点を取り切れなかったりという試合が、自分が出ているときから離脱中も続いていて、早く試合に出て貢献したいと思っていました」

Q.確かに、チームとしての課題はハッキリしていると思います。
「外から見ていて、後半の戦い方の部分に課題が顕著に出ていると思うので、トレーニングではそこを積み上げていますし、全員が共通認識を持ってやれています。この中断期間は攻撃の積み上げはもちろんですけど、守備の部分もすり合わせながらやってきたので、それが中断明けの試合で出せたら勝点3を取れるゲームができると思います」

Q.ビルドアップの安定感は高まっているので、ボールが入ってくる回数は増えると思います。
「離脱前からボールが入ってくるシーンは多くて、ビルドアップに関わることはあまりなかったですけど、自分に入ったときは攻撃の起点になって縦や中に仕掛けて、ゴールやアシストでチームに貢献したい思いがすごくあるので、自分のところで攻撃のスイッチになることを意識しています」

Q.ここからの試合は、小西選手のゴールやアシストがチームの結果に直結していくと思います。
「全得点に絡みたい気持ちはあります。今季の目標は5ゴール5アシストでしたけど、それ以上を求めてやっていかないといけないと思っているので、中断明けは、より攻撃の起点となってゴールやアシストで貢献できたらいいと思います」

Q.今節の相手・FC大阪との前回対戦は、すごく悔しいゲームとなりました。
「やはり粘り強いチームだということは前回対戦で分かりました。前半から自分たちのサッカーはできていましたし、攻撃のクオリティーも勝っていたと思いますけど、試合の仕上げ方は首位に立つ、上位争いをするチームだなと思いました。今回は絶対にホームで叩こうとみんなが思っています」

Q.ホームで勝ちたいですね。
「(前節・鹿児島ユナイテッドFC戦は)復帰明けで出させてもらいましたけど、失点に絡みましたし、申し訳ない形で試合を終わらせてしまいました。自分は攻撃の選手なので、得点にフォーカスしながら、今回のホームゲームで必ず挽回して、中断期間に取り組んできた守備の部分も見せられたら絶対に勝てると思います」

progress of a match 試合経過

ザスパ群馬
FC大阪
前半後半データ後半前半
11シュート10
3CK8
GK
9FK15
オフサイド
0PK0

MEMBER LINEUP メンバーラインナップ

スターティングメンバー
  • GK 13 近藤壱成

  • DF 36 安達秀都

  • DF 30 小柳達司

  • DF 3 大畑隆也

  • DF 22 高橋勇利也

  • MF 37 瀬畠義成

  • MF 7 西村恭史

  • MF 15 風間宏希

  • FW 38 小西宏登

  • FW 32 河田篤秀

  • FW 18 田中翔太

控えメンバー
  • GK 21 キムジェヒ

  • DF 43 野瀬翔也

  • MF 8 山内陸

  • MF 27 藤村怜

  • MF 35 玉城大志

  • MF 49 小竹知恩

  • FW 9 青木翔大

  • FW 10 髙澤優也

  • FW 20 下川太陽

監督
  • 沖田優

スターティングメンバー
  • GK 1 山本透衣

  • DF 37 堤奏一郎

  • DF 3 川上竜

  • DF 23 秋山拓也

  • DF 16 橋本陸

  • MF 27 澤崎凌大

  • MF 33 禹相皓

  • MF 10 久保吏久斗

  • MF 19 増田隼司

  • FW 7 木匠貴大

  • FW 9 島田拓海

控えメンバー
  • GK 31 菅原大道

  • DF 5 水口湧斗

  • DF 6 舘野俊祐

  • MF 8 芳賀日陽

  • MF 11 利根瑠偉

  • MF 25 武井成豪

  • MF 41 野瀬龍世

  • FW 39 望月想空

  • FW 51 西村真祈

監督
  • 大嶽直人

DATA 試合環境

入場者数
4701
天候
29.5℃ 67%%
主審
小林健太朗
副審
原田大輔、長田望

MOVIE ハイライト動画

COMMENT 監督&選手コメント

監督コメント

「ホームで長らく勝てていなくて、中断を挟んだ形になりましたけど、ようやくホームで応援してくれている方々に勝利を届けられたので、まずはそこが素晴らしかったと思います。全員で勝ち取った勝利です。今日のメンバーの20人だけでなくて、普段からともに練習している全員の勝利だと思いますし、スタッフも本当に日々、力を注いでハードワークしてくれていて、強化部もフロントの方も思うように勝点を取れない中でも常に全員で同じ方向を向いてやり続けてきたからこそ、本当に大きな成長に向かっていける1勝だったと思います。そういう意味で、この1勝はすごくうれしい1勝でした。“夏ザスパ”というイベントがあった夏休みのゲームで、本当に多くの子どもたちやアカデミーの子たちが多く観に来ている中で、複数得点を取るし、戦う姿を見せてくれるし、チーム全体での素晴らしい1勝だったと思います。ただ、これに満足することなく、この1勝をきっかけに一つずつ目の前の勝利を目指し、後半戦は勝利を増やしていけるように進化していきたいと思います」

Q.立ち上がりはFC大阪に押し込まれる展開となりましたが、ゲーム全体を振り返るといかがでしょうか。
「試合の入りで、自分たちの形でつないだ場面でのロストからのカウンター、奪って早めにつけられたところでサイドから侵入されて、シュートまでいかれる形は少し多かったと思います。ただ、そういう時間帯がありながらも、自分たちのスタイルを保ちながら、つなぐところとロングボールのバランスとしては、点を取っていく流れの中でいい表現をしてくれたと思っています」

Q.得点シーンはどう映りましたか。
「1点目は(河田)篤秀とヤス(西村恭史)がポジションを変わって、外には小西(宏登)もいて、(高橋)勇利也が全員を見た上であの場所を選択しました。(相手の)サイドバックが外に開き過ぎていたら篤秀が空くし、サイドバックが絞ればコニ(小西)が空くし、自分たちの攻撃的な前に行く姿勢が相手のディフェンスラインに脅威を与えた1点目だったという意味では素晴らしいゴールだったと思っています。2点目もペナルティーエリア内のポケットにしっかりと侵入して、ペナルティーエリア内にも人数をかけたから生まれたゴールなので、自分たちがちょっとずつ積み上げてきたことが出た素晴らしい2得点だったと思っています」

Q.前回対戦と同じく2点のリードで折り返しました。
「自分たちの攻撃の精度やバリエーションという意味では、後半に向けてもっともっといろいろな表現をできると(ハーフタイムに話しました)。前半は引っかかってカウンターを受けるシーンが多かったですけど、そこに対してもバリエーションを多くできるというところを伝えました。あとは、守備のところでプレッシャーの掛け方の修正をしました。選手たちは、まずベースのところで走るし、球際で勝負するし、切り替えを早くするし、そこもしっかりと表現してくれたので、トータルとして勝利に値するプレーをしてくれたと思います」

Q.最後の交代でセンターバックの野瀬翔也選手を入れましたが、センターバックの選手を増やした狙いや意図を教えてください。
「相手が点を取らないといけないという時間になったときに、あそこから2トップの追い掛けだけではなく前線の4人プラス、2人でとにかくプレッシャーを掛けてきて加速してくると思っていたので、その意味では野瀬選手を入れることで相手の2トップに対して3枚で動かせるようになりますし、あの時間帯から相手がやってくることを1個先に対応してしっかりとつないでいけるようにする形で投入しました。(髙澤)優也もそこをスタートに自分が受けたら収めてくれるし、点も取ってくれる選手なので、セットで投入しました。つないでもいけるし、追加点も取れるし、というところで今回は起用しました」

Q.今後に向けて。
「中断期間に入ってから、みんな同じ方向を向いて自分たちのサッカーでレベルアップするという条件の中で、正直、守備の強度を求める練習もしましたけど、自分たちのスタイルを絶対に見失ってはいけないという中でベースアップしてきました。中断前に悔しい思いをしたゲームが多かったので、負けを引き分け、引き分けを勝ちに変えていき、今日を皮切りにどんどん進化しながら、結果にもフォーカスしながら、やっていきたいと思います」

選手コメント

選手写真

FW32

河田篤秀Atsushi KAWATA


Q.再開初戦を勝利で飾れました。
「正直、内容で圧倒できたわけではないですが、スコアとして2-0で勝てて良かったという感じですね」

Q.素晴らしい先制点がゲームの流れを変えたと思います。
「ユリ(高橋勇利也)のボールも良かったですし、GKがいいタイミングで出てきてくれたので、焦ることなく決められました。ずっと裏へのボールは要求している中でなかなか出てきていなかったので、あんまり信じていなかったですけど(笑)、ユリは蹴ってくれるので『来たらいいな』と思いながら走っていました。相手が競ってくる感じではなかったので、頭でトラップしていけるかなという感じでした」

Q.ボールが入ってくる回数も少なくはなかったと思います。
「ボールを触れることはいいことですけど、裏へのボールは(得点シーンの)1本だけですし、あそこを通してくれれば点を取れるという形は見せられたと思うので、今後はもっと出してくれたらと思います」

Q.我慢強く勝てた点は前半戦からの成長を感じると思います。
「そうですね。特に守備のところは、ただ頑張るだけでなく、守るところは守るとか、しっかりと走って前から行くところは行くとか、そこはある程度良くなっていると思います。まだまだですけど、今日の試合は悪くなかったと思います」

Q.これを続けていくために大事なことはなんでしょうか。
「今日は蹴ってくる相手だったので、プレスがうまくいかないときでも奪えていましたけど、つないで、自分たちの(人数が)少ないところを突いてくるチームに対応できるかどうか。自分たちがつないでいくチームだからこそ、そこの守備の強度や連係を高めていくことが必要だと思います」

Q.次節はホームで栃木SCとの対戦になります。
「今日の勝ちをより意味のあるものにするためにも、まずは勝つことが大事だと思います。それにザスパがやってきたことを価値あるものにするためには内容も楽しいサッカーでないといけないので、両方を求めてしっかりと勝ちたいと思います」

選手写真

DF22

高橋 勇利也Yuriya TAKAHASHI


Q.再開初戦を勝って終えられました。
「FC大阪には前半戦で本当に悔しい負け方をしたので、みんな気合いが入っていたと思います。ただ、僕が試合前に話したのは、相手に関係なく、いま目指していることは、チームとしてはもちろんだけど、個人個人でもJ2やJ1で戦うことを目標として日々やっているので、今日の相手と互角で戦っているようではダメだよと。上でやるならこの相手に圧勝するくらいじゃないと上には行けないと話したので、そういうマインドをもって試合に臨めたことが大きかったと思います」

Q.1点目のアシストシーンは、多くの選択肢があった中、どういう判断で河田選手を選んだのでしょうか。
「試合前のふとしたときにカワくん(河田篤秀)が『あそこに蹴ってほしいな』とボヤいていたんです。あのシーンは時間があった中でカワくんがずっとチラチラ見てきていて、欲しがっているんだろうなと思って、あそこに蹴る自信はあったので、落としてあげられればあとは本当に質の高い選手なので決めてくれると。そのままゴールに行くのはビックリしましたけど、ふとしたつながりから生まれたゴールですね」

Q.2点目は豪快に蹴り込みました。
「今日、いつもと違ったのはFWタイプの田中翔太とのコンビで、彼はチャンスがあればゴール前に飛び込んでいく選手なので、その前のシーンもタナ(田中)がゴール前に突っ込んだからこそ、自分が空きましたし、得点シーンもタナが右のポケットまで走って自分のところが空いたので、前でゴール前に飛び込んでくれる選手がいると、僕は相手の状況を見て入れるのでいい関係性だったと思います。

シュートは気持ちというか、相手のGKがすごくいいGKだと知っていたので、もちろん枠に入れることは言われていますけど、コースを狙うというよりもボールのどこに当てるかしか考えていなかったですね。豪快に振ったというよりは、しっかりとボールを捉えるキックを練習しているので、アシストもそうですけど、パワーで蹴るというよりも当てるだけであのシュートが蹴れたので、練習どおりだと思います」

Q.試されているかのように、前回対戦と同じく2-0のスコアで折り返しました。
「観ている人はそういう思いで、『もしかしたら……』と思った人も多かったと思いますけど、自分たちも同じ思いをしたくないという思いはありました。そういうことを考える前にいつもなら『0-0の気持ちで戦おう』というところを今日は『0-1で負けている想定で後半は戦おう』と。点を取れたらいいではなく、点を取れなかったら負けるんだよと。後半も幾度とチャンスを作りましたけど、自分たち的には3点目、後半の1点目を取れなかったので負けたくらい悔しいですけど、自分たちが目指しているのはそういうサッカーなので、次も2-0があったら、そういうマインドでやりたいと思います」

Q.無失点で終えられた点はどう捉えますか。
「守備陣だけでなく、今回、挑戦した新しい守り方も浸透してきて、ボールホルダーにプレッシャーを掛けることができたので、前回対戦よりも相手のクロス数は少なかったですし、チャレンジはできたと思います。そこはチーム全体でやった結果だと思います」

Q.次節は今季初の連勝を懸けて、ホームで栃木SCを迎えます。
「ここまで連勝するチャンスが何回もあった中でできていないですし、次、次という声も聞かれますけど、僕たちが見ているのは次だけでなくその先なので、その先を目指して練習しないと次も勝てないと思います。『次、絶対に勝つ』というよりも、この戦いをこの先も続けていきたいので、この先に集中して戦っていきたいと思います」

選手写真

MF36

安達 秀都Shuto ADACHI


「再開初戦の試合で勝つことができて、勢いを付けられたことは良かったと思います」

Q.中盤でよく走り、セカンドボールの争いでもファイトしていたと感じました。
「コンパクトにすることは意識していましたけど、前半の途中や試合の終盤は間延びして相手に拾われて攻め込まれる時間帯もあったので、90分をとおしてやれなかったことは課題ですけど、総合的に見れば、今回は相手よりも上回れたと思うので、続けていきたいと思います」

Q.そのあたりは、自身としても成長を感じるところはありますか。
「(第19節)松本山雅FC戦から出場時間が延びてきて、そこで試合勘が戻ったというか、90分間の体力が戻ってきた感覚があるので、夏で暑いですけど、ここからの試合も走れるという良さを生かしてやっていきたいと思います」

Q.後半アディショナルタイムに逆転された前回対戦時にピッチに立っていた一人として、そのことは意識しましたか。
「思いは強かったですね。もちろん、どの試合も一緒ですけど、試合前も強かったですし、前半を折り返したときに2-0で前回と同じ感じだったので、逆に危機感をもってやれました。後半も追加点を取りたかったですけど、クリーンシートで終えられたところは成長したところかなと思います」

Q.2-0で折り返したからこそ、ハーフタイムや後半に声は掛け合っていましたか。
「そうですね。ただ、途中出場の選手たちもスタメンで出てもおかしくない選手だと沖田さん(沖田優監督)も言っていたので、交代してパワーアップできたところは良かったです」

Q.次節・栃木SCは連勝が懸かるゲームです。
「もちろん、勝てば連勝というのはありますけど、あまり意識せずに目の前の1試合1試合を戦っていければいいと思います」

SUMMARY総括

5カ月ぶりとなったホーム戦勝利
今度は追い付かれずに無失点で勝点3


明治安田J3リーグ再開初戦となる今節、試合開始前で2位のFC大阪をホームに迎えた一戦は、3週間前の前節・鹿児島ユナイテッドFC戦からスタメンを2人変更して臨んだ。中盤に風間宏希が入り、右のワイドの位置には小西宏登が先発に戻ってきた。

多くの子どもたちも駆け付けた夏休みの正田醬油スタジアム群馬であったが、立ち上がりはFC大阪の圧力が上回る展開となる。シンプルにゴール前までボールを運ばれ、何とかはね返すシーンが続き、3本連続でCKを与える時間帯もあった。それでも、7分のピンチを相手のシュートミスに助けられるなど無失点でいると、10分に訪れたファーストチャンスで先制に成功する。自陣で得たFKを高橋勇利也がロングフィード。きれいな弧を描いて対角線に飛んだボールを河田篤秀が巧みに頭でコントロールして、飛び出してきた相手GKをかわすループシュートを左足で沈めた。

この1点で落ち着きを取り戻したザスパ群馬は、ようやくボールをつなぐシーンを作れるようになっていく。14分には右サイドを抜け出した西村恭史のクロスからチャンスを作った。そして、24分には鮮やかな形から2点目を奪ってみせる。右サイドに張り出していた小西宏登がボールを受けるとドリブルではなくパスを選択。斜めに走りポケットを取った田中翔太のマイナスへの折り返しに詰めたのは高橋。左足で豪快に蹴り込み、紺に染まるスタジアムを大きく沸かせた。

4月の前回対戦と同じく前半の内に2点のリードを得たザスパ群馬は、慌てずにゲームを進めていく。前に出たFC大阪に押し込まれる局面でも、ゴール前では集中力を切らさず、体を張り、2-0のまま前半を折り返した。

勝負の後半、出足よくゲームに入ったのは群馬のほうだった。49分には2列目から飛び出した風間がヘディングシュートを打てば、50分には左サイドに流れた河田のシュートのこぼれ球に小西と瀬畠義成が連続して反応し、シュートを放った。ゴールとはならなかったが、3点目を奪いにいく姿勢をしっかりと示した。

58分には最初の選手交代を行う。山内陸と藤村怜を投入し、中盤の運動量と強度を保つと、62分にはまたもチャンスを作る。カウンターから小西のクロスに西村が合わせようとする。惜しくも届かなかったが、得点を予感させるシーンを作った。

その後は、選手交代を行いながら前線を活性化させてくるFC大阪にゴールを脅かされるシーンも少なからずあり、71分にはセットプレーの流れから途中出場の野瀬龍世に際どいシュートを打たれるが、これは枠の外。ボールはサイドネットの外側に当たった。

これまで失点が多かった残りの15分に入ってからは、より集中力を研ぎ澄ましたザスパ群馬。83分に野瀬翔也と髙澤優也を最後のカードとして送り込む。センターバックとセンターフォワードにフレッシュな選手を入れ、逃げ切りを図った。その中でもチャンスと見ればカウンターに出て行く姿勢は失わず。果敢に3点目を奪いに行きつつ、時間は刻々と経過していく。そのまま2-0のスコアでゲームを終わらせ、5カ月ぶりにホームゲームで勝利を挙げるとともに“宿敵”のFC大阪にリベンジを果たした。

文:須賀大輔(エル・ゴラッソ群馬担当)