MF33
細貝 萌Hajime HOSOGAI
ザスパ群馬
群馬
正田醤油スタジアム群馬
0前半 1
0後半 1
試合終了
徳島ヴォルティス
徳島
前半 | 後半 | 計 | データ | 計 | 後半 | 前半 |
---|---|---|---|---|---|---|
9 | シュート | 16 | ||||
2 | CK | 6 | ||||
GK | ||||||
17 | FK | 7 | ||||
オフサイド | ||||||
0 | PK | 0 |
GK 21 櫛引政敏
DF 34 小柳達司
DF 37 瀬畠義成
DF 36 中塩大貴
MF 5 川上エドオジョン智慧
MF 44 仙波大志
MF 33 細貝萌
MF 6 天笠泰輝
FW 28 樺山諒乃介
FW 23 平松宗
FW 14 川本梨誉
GK 42 石井僚
DF 3 大畑隆也
MF 15 風間宏希
MF 17 山中惇希
FW 7 和田昌士
FW 32 河田篤秀
FW 40 佐川洸介
武藤覚
GK 21 田中颯
DF 18 エウシーニョ
DF 4 カイケ
DF 5 森昂大
DF 26 青木駿人
MF 28 鹿沼直生
MF 20 児玉駿斗
MF 13 西野太陽
MF 88 渡井理己
FW 9 ブラウンノア賢信
FW 16 渡大生
GK 29 三井大輝
DF 22 柳澤亘
MF 54 永木亮太
MF 17 髙田颯也
MF 10 杉本太郎
FW 7 チアゴアウベス
FW 30 坪井清志郎
増田功作
本日行われました「2024明治安田J2リーグ第36節vs徳島ヴォルティス」の試合後監督記者会見における武藤監督のコメントをお知らせいたします。
「細貝 萌の引退セレモニーがありましたが、彼はいろいろな人に声をかけられ、いろいろな人からメッセージをもらっていました。それは彼の功績で、20年間やってきたことの成果だと思います。
試合はホーム最終戦で、やはり勝たなければならないという思いと、細貝をなんとかいい形で(セレモニーさせたい)というところで、しっかり戦おうと準備してきました。その試合で勝ち切れなかったのは、今季ずっと続いている課題です。いい状態でボールが奪えてカウンターも打てて、シュートまでいけていましたが、得点を取れませんでした。
その中で1回ドリブルでサイドを突破されてクロスを入れられて、CKになった。そこから失点してしまいました。これは今季、何回も何回も見ている場面で、サポーターの皆さんやスタジアムにお越しなった方々に修正した姿をお見せできなかったことは自分の反省です。
後半の立ち上がり、そのままのメンバーでいきましたがなんとか耐えたかったところで2点目を取られ、難しくなってしまったというのはあります。
誰がどうこうではなくて、球際のところで、相手のドリブルに対して3人で対応したところを突破されました。奪いにいったのに突破されたところが、今日のゲームを分けた部分だと思っています。球際の部分でしっかり戦ったつもりですが、そこで徳島さんにもっていかれた部分は正直あったと感じています。それはシーズンを通しての課題で、やらなければならないこと、足りないことの一つだと思います。
得点を取るところも課題で、チャンスは作っても、ゴールを取らないと勝点3は取れません。あと2試合、アウェイですが、しっかり準備して、リスタートを含めて点を取るというところにトライしなければならないと思っています。結果を出していないので、応援してくださる皆さまには応えられていないというのは感じています。明日もトレーニングマッチがありますし、メンバーをどうするのかも含めてしっかり準備して、残りの2試合をしっかりと戦いたいと思います」
(細貝選手を先発で起用した意図は?)
「ゲーム展開がどうなるか分からない中では、最初から使ってあげたかったですし、彼はゲームコントロールをしてくれると思っていました。コミュニケーションを多く取れますし、要所で戦えるという選手なので、スタートのほうが良さが出るかな、という思いと、みんなで戦うホーム最終戦ですし、彼にとって最後のホームゲームでした。その試合で勝つために、みんなの気持ちを出すという部分でも、萌を初めから起用しました」
(ハーフタイムの指示はどのようなものだったのでしょうか?)
「ボールを動かされていましたが、危険なところへは入れられていないし、背後も取られていませんでした。サイドを突破されたのも本当にわずかの回数だったので、そこを突破させないことはみんなで共有したつもりですし、どういう形で徳島がやってくるのか、その狙いも想定していました。サイドからドリブルで入ってくる、もしくはサイドチェンジをしてくるということと、その対応はしっかりしようと伝えました。
ただ、サイドにスピードがある選手がいて、そこからのドリブルで縦に来られるところでそのコースを切れず、横からの対応になってどんどん前に運ばれてしまいました。そうして運ばれたことがあの(3人で対応することになり、そこを打開された)場面の原因だと思います。やはりゴールに向かわせてはいけないというところ、どのコースから奪いに行くのか、やらせないというところは、あの場面ではうまく出せなかったというのはあったと思います」
(細貝選手は、チームの中ではどのような存在でしたか?)
「チームの中ではコミュニケーションがとてもとれる選手で、ゲームの中でもどういうことをしなきゃいけない、どういうことをやらせてはいけないということを体現できる選手だと思っています。
守備のところではスペースを消すところや、相手の良さを消すことがすごくできる選手です。テクニックもしっかりしているので、ボールを運ぶところに関わって、ボールを動かす部分でも大事な一人の選手だと思っています。
なかなかコンディションの部分で(気になるところが)あったかもしれないですが、トレーニングからしっかりやれてくれる選手です。トレーニングが次のパートに移ったときにも、彼は先頭でやってくれる選手で、こちらの意図を汲んでくれます。先頭で見本になるプレーもたくさんあったというところでは、若手にとってすごくお手本になる選手です。何より彼は練習場に早く来て準備をするという姿勢がありました。だからこそ20年間もプレーできたし、海外でも代表でもキャリアを踏むことができたところがあると思います。若手や、これからまだまだ続く選手にとってすごく見本になる選手だと思います」
(ホーム最終戦を終えて、サポーターからは厳しい声もありましたが?)
「シーズンの頭からなかなか勝ちが取れずに、5月に監督という立場に代わりました。まずは失点をしないということから入ったところはあり、失点は減ってきた部分はあったのですが、得点を取れないというところはずっと課題で、なかなか点が取れませんでした。相手の良さを消しながらチャンスも作りましたし、こうやってボールを奪って攻めるというのは、毎回相手を見ながら準備してきたつもりですが、その中で得点が取れませんでした。
また、想定しないところで失点してしまったのもとても多かったと思います。ゲームの流れを読む力、中でコミュニケーションを取る力など、いろいろな要因はあると思います。それでも勝点を取っていかないと、選手の自信にもなりませんし、トライするところも含めて、勝点を取るところまでなかなかもっていけなかったことが夏場まで続いてしまいました。流れを変えなかったことは反省していますし、もしかしたら違うやり方があったかもしれないですが、僕の力不足だと思っています。
選手はすごくトライしてくれましたし、トレーニングを一生懸命やってくれているというのは実感としてあるので、なんとか勝点につなげないといけなかったです。それをサポーターやスタジアムにお越しの皆さんにお見せできなかったのはすごく悔しいですし、情けない。申し訳ない結果になったと思っています」
MF33
細貝 萌Hajime HOSOGAI
(ホーム最終戦とセレモニーを終えて)
「自分のことどうこうよりは、ホーム最終戦で勝ちたかったです。ただ、流れ的には難しい部分もありましたし、これからチームが成長していくにあたって、いろいろなものを改善していかないといけないというふうには思いました」
(試合前、バスがスタジアムに入ってくるところから大きな声援が飛んでいましたが?)
「素直にうれしかったです。サポーターにもっと感謝を伝えたかったところはあります。全部を伝えることは難しいですが、自分の大好きな場所で、こうやってプロサッカー選手としてプレーできたことは素晴らしいことだったと思っています。
ピッチ上で喜んでもらえるようにプレーすることが理想でしたが、ここ数年、ピッチに立つ時間があまりなかったので、恩返しはあまりできていないと思っています。
それでも、プライベートの部分から自分のことをたくさんの方が知ってくれていたということがすごくうれしいです。違う形になると思いますが、自分の好きな場所でしっかりとベストを尽くすことで恩返しをしたいと思います。
(33番をもっている大勢のファン・サポーターを見てどんな思いになりましたか?)
「ああいうふうにやっていただけるとは思っていなかったですし、セレモニーが終わるときにはだいぶ長い時間が試合後から経っていたのもかかわらず、たくさんの方が残ってくれたことを本当にうれしく思います。感謝してもし切れないくらいです。
2005年にプロサッカー選手になって、ここでどうしても終わりたい、群馬で最後はプレーして終わるということを決めていました。恵まれたサッカー人生だったと思います」
(交代される際、両チームの選手、スタッフ、そして審判団の方も加わって花道が作られましたが?)
「それも知らなかったことでした。当然、相手の選手には僕のことを知らない方もいたと思います。それでもああやっていただけることはすごくうれしいことでした。サッカーが自分にすべてを与えてくれたので、これからサッカー界に対して何か自分自身で恩返しできるように頑張っていかなければならないと思っています。大好きな場所で仕事ができるように頑張りたいと思います」
(セレモニーでは多くの方からメッセージがありましたが?)
「普段から仲良くしている選手たちがたくさんいる中で、ああいう選手たちがコメントをくれたことがすごくうれしいことでした。オカちゃん(岡崎 慎司)にしても、槙野(智章)にしても、(本田)圭佑はまたちょっと特殊な人生を歩んでいると思いますが、彼らが引退している状況ということは、僕よりも先に進んでいるので、彼らから学ぶことがあります。選手のときはお互いに励まし合って、お互い厳しい中で表に出せないようなことも話し合って切磋琢磨してきました。そういう仲間からのメッセージは素直にうれしかったです」
GK21
櫛引 政敏Masatoshi KUSHIBIKI
(失点場面について)
「1失点目も2失点目ももったいない失点でした。1失点目の場面で、(CKからの)ニアのボールを触るためには駆け引きや準備の部分が必要で、それが足りなかったと思います。
2失点目も、相手を止めたあとに中にいる選手がフリーになっていました。今シーズン、セカンドボールを決められることは、よくあることです。もう少し状況を見て、どこが危ないのかという危機察知能力がないと厳しいと思います。やられてはいけないところをケアをして、無理に取りに行かないことも必要です。相手を狭い方向にもっていくなど、賢いプレーができていれば問題なかったと思っています」
(ファン・サポーターからは厳しい声もありましたが?)
「結果として降格をしてしまうチームです。チームをどういい方向に持っていけるかが大事だと思うので、そういう声はしっかり受け止めて、自分たちのやれることをしっかりやっていければと思います」
(最終戦セレモニーでは、「1年で上がる」ということを話されていましたが、どんな思いからですか?)
「チームとしてその気持ちがあるということをはっきりと言うことが大事だと思いました。中途半端なことよりも、自分たちが目指すところを明確に伝えたほうがいいと思いました」
(細貝選手がキャプテンマークを着けたことについて)
「言われなかったら自分もそうするつもりでしたが、あれはチームの総意だと思います。元々チームを引っ張っている選手ですし、そういう立場で、実績のある選手だと思っています」
(残り2試合に向けて)
「自分にとっては、試合のもつ意味は常に同じです。今季は勝てない試合が多い中で、残り2試合、勝つことに集中して取り組んでいければと思います」
FW28
樺山 諒乃介Ryonosuke KABAYAMA
(試合を振り返って)
「思うような結果にはなりませんでした。ハジさん(細貝 萌)のために頑張ろうと思って臨んだのですが、良い結果につながりませんでした。
小学校のころから見ていた選手と隣でプレーすることになったというのが、すごくうれしかったです。隣にいることの安心感もありました。なるべく、ハジさんをラクにさせてあげようという思いはありました。
ただ、セットプレーや後半が始まってすぐの簡単な失点というのは、ずっとある課題です。それがホーム最終戦で出てしまったのが、このチームの課題だと思います。でも、まだ残り2試合あります。まだ変えられる機会があるので、変えていきたいです」
(どんな意識で臨んだ試合でしたか?)
「ハジさんのために手助けをしようと思っていました。その思いでやっていたところで、失点につながってしまいました。プレスのスピードや、プレスバックのスピードはもしかしたら上がっていたかもしれません」
(細貝選手の交代時、全員が花道を作っていましたが?)
「何度も言っていますが、同じピッチに立てたことが誇りです。残り2試合ありますし、またハジさんとプレーすることもあると思います。ハジさんみたいにああやって海外などでも活躍したいですし、ポジションは違いますが、学べること、聞けることはたくさんあると思うので、積極的に聞いていきたいです」
細貝萌が今季初先発も、
ホーム最終戦を勝利で飾れず
スタジアムに選手らを乗せたバスが入り、その男が姿を見せると大きな歓声が上がった。声援に応えながら、細貝 萌は感極まる表情を見せた。
群馬が誇るサッカー界のレジェンドである。前橋市出身で、FC前橋ジュニアユース、前橋育英高校でプレーし、日本代表30キャップ、それにバイヤー・レバークーゼンやアウクスブルク、ヘルタ・ベルリン、そしてシュトゥットガルトなど、名門のドイツクラブでも活躍した。2021年9月に地元クラブに帰還してから3年あまり、チーム内での存在感は絶大だった。
その細貝が先発する。チームメートが意気に感じて、ホーム最終戦を勝利で飾ろうと一致団結したのは言うまでもない。
ミドルゾーンで構える[4-4-2]のコンパクトな守備から、相手の縦パスに厳しくプレッシャーを掛けてカウンターを狙う。「コ゚―!」。中盤の底には、その守備のスイッチを入れるために大きな声を出す細貝の姿があった。
「小学校のころから見ていた選手が隣でプレーすることになった。それはすごくうれしかったです。隣にいることの安心感もあったし、なるべく、ハジさんをラクにさせてあげようという思いがあった」
右ボランチに入った細貝の右隣、右サイドハーフの位置に入った樺山 諒乃介はそう振り返っている。
最初のチャンスは10分、右から入ったCKを受けた平松 宗がシュートを放つも枠外へ。中盤でボールを拾って持ち上がった天笠 泰輝のミドルシュートは14分。15分には仙波 大志が得意とする見事なスルーパスが平松 宗に通る。最後は川本 梨誉が右足で狙ったが、これも枠を外れてしまった。
立て続けにシュートチャンスを得ていたザスパ群馬だったが、先に得点を奪われてしまった。31分、CKをニアサイドで渡 大生が触れ、ファーサイドから青木 駿人が折り返す。中央で鹿沼 直生が触ってネットを揺らした。
1点のビハインドで迎えた後半、先頭で細貝がピッチに現れ、逆襲への意思を示した。しかし、キックオフ直後に失点を喫してしまう。武藤 覚監督が悔やんだのはその直前のシーンだ。「相手のドリブルに対して3人で対応したところを突破された。今日のゲームを分けた部分だと思う」。奪いたかったところでボールを奪えず、その選手に最後はゴール前で押し込まれて追加点を許した。「セカンドボールを決められることは今季よくあること。どこが危ないのか、危機察知能力がないと厳しい」。櫛引 政敏も苦い顔だ。
そして52分、細貝の交代が告げられた。すると、両チームの全選手、スタッフ、審判団に至るまで、花道を作ってピッチを出る細貝に拍手を贈った。もちろん、スタジアム全体からも大きな拍手。その光景を見た細貝の目には涙が浮かんでいた。
細貝からバトンを受けた和田 昌士は前線に入り、タメを作って全体を押し上げた。ボランチの位置には仙波が落ちて、攻撃を組み立てる。その後、山中 惇希や佐川 洸介、それに河田 篤秀、風間 宏希と攻撃的な選手を次々に投入して1点を目指したが、ゴールを奪うことはできず。0-2のまま、敗れた。
試合後にはホーム最終戦セレモニーが行われ、そのあとには細貝の引退セレモニーも実施された。本田 圭佑や岡崎 慎司、槙野 智章といった日本代表の盟友からビデオメッセージがあり、細貝本人もスピーチ。正田醤油スタジアム群馬に集ったファン・サポーターは、地元のレジェンドへの感謝を込めて温かい拍手を送った。
「納得できるプレーではなかったし、チームも敗戦してしまった。思うようなサッカーはできなかったが、今日の試合は間違いなく忘れることはない。こういう経験ができたことを誇りに思いながら、また次の人生に向かっていきたい。とはいえ、まだ2試合ある。あと2週間、チーム一丸となってサポーターのために勝つことだけを考えて、チーム全体で取り組んでいけたらいい」
細貝も敗戦を悔やみながら、試合後には感謝の言葉を述べ、そして残り2試合への意気込みを語っている。ホーム最終戦は終わったが、このメンバーで戦うシーズンはまだ続く。次節は11月3日(日)、レゾナックドーム大分で行われるJ2第37節だ。
文:田中 直希(EL GOLAZO)
ファン・サポーターのため、
そして細貝萌のために
何のためにプレーするのか。何を思ってサッカーをするのか。そのことをあらためて問われることになりそうなホーム最終戦だ。厳しい結果が続いた今季のリーグ戦も残り3試合。27日に行われる徳島ヴォルティスとのJ2第36節は、正田醤油スタジアム群馬で開催される今年のラストゲームとなる。
リーグ戦でホーム1勝しか挙げられていない現実があるものの、ファン・サポーターは試合で声援を送り続けていた。スタジアム入りするバスを待ってチャントや激励の声を届けた。アウェイにも大勢が駆け付けた。それに23日の練習場では、「ホーム最終戦。みんなで勝利の草津節を」という横断幕を掲げ、選手に思いを伝えている。「本当にありがたいこと。それに応えるには勝つしかない」。武藤 覚監督はそう語り、中塩 大貴も「最後のホームゲームで、自分たちが何を表現できるかということにフォーカスしてやっていく」と話した。1年間ぶんのファン・サポーターへの思いを、選手たちは熱いプレーで示そうとしている。
そして、群馬が誇る一人のレジェンドに対しての思いもそこに加わる。23日、細貝 萌の今季限りでの現役引退が発表された。リリースと同じタイミングで、細貝自身の口からチーム内ミーティングで今回の発表や思いについて選手たちに話す場が設けられたという。その話も受けて、平松 宗などは「絶対に勝って、いいセレモニーになるようにしたい」と決意していた。試合後に行われる予定の引退セレモニーを勝利で迎える。後輩たちの思いは一致している。
「チームの中でも核となる選手で、リーダーシップを発揮できる。本当に選手たちへの影響力が大きい選手」。武藤監督もその存在の大きさを語っていた。
チームとしては、前々節のジェフユナイテッド千葉戦から継続している4バックシステムに一定の手ごたえを得ており、負傷者の復帰などもあって選手個々の特徴がマッチしてきた印象も受ける。5試合ぶりの無失点と勝点獲得を果たした前節の流れを継続しつつ、勝点3という結果につなげたい。
相手の徳島は前回対戦で勝利した相手ではあるが、直後に監督交代があり、調子を上げて残留圏を確保している。現在も、3連敗のあとに2連勝。ポルトガル1部リーグに移籍後、今夏に復帰した渡井 理己も前節で先発入りして特徴を見せるなど、チームは上向きの状態にある。
強敵との試合を前に、「試合でできることやよくなっていることはあるが、何より泥臭くてもいいから勝点3を取りにいく」ということを武藤監督は選手たちに伝えた。またトレーニングでは引き続き、ほぼすべてのメニューに対してゴールが設置され、「点を取るための意識付け」(武藤監督)を続けている。得点を奪うこと、勝利につながる好守備を見せること。それにつながる選手間の意見交換や要求を増やすことについても、厳しい口調で監督が選手に求めていた。
ファン・サポーターのため、そして偉大なる細貝のために。それがチーム、個人のためにもなることは皆が理解している。強い気持ちの発露と、第29節・ブラウブリッツ秋田戦以来の勝利を。思いを一つに戦いたい。
文:田中直希(EL GOLAZO)
武藤 覚監督
(ジェフユナイテッド千葉戦から[4-4-2]を基本としたシステムを採用されていますが、手ごたえは?)
「相手のことや、調子のいい選手を起用しようと思った結果でもありますし、前線の選手のパワーを使いたいという意図もありました。(前節の相手である)栃木SCさんのゲームを見て、自分たちは何ができるかを考えた上で、4バックを続けました。守備のときに可変する意識というよりも、相手の攻撃に対応することを整理したことで、(守備では)ああいう(5バック気味に守る)形になっていたということでしょう。(左サイドハーフが最終ラインに吸収されるように)下がることなく前でプレーできればいいな、という思いはあります。(ボランチの左に入る)天笠 泰輝がそこをカバーできることを考えれば、(川本)梨誉がもっと前に絡むシーンも増えると思っています」
(FWで起用されている平松 宗選手が相手の最終ライン裏へ走ることで、1.5列目でプレーすることを得意とする和田 昌士選手も生きているように見えますが?)
「一緒にプレーする時間が長くなればなるほど、お互いの良さや意図が分かり、プレーも合ってくることは絶対にありますからね。リーグ戦上位のチームはメンバーなどが固定されていて、戦い方がはっきりしていることが多いです。その点、(ザスパ群馬の)ゲームモデルをなかなか作れなかった、という反省は正直あります。それをもっと早く固めることができて、勝点を取れていれば、もっと違うトライができていたかもしれません。それでも、いまのこういう状況でも選手はモチベーション高くやってくれています。調子のいい選手、良さが出る組み合わせを引き続き考えていきます」
(徳島ヴォルティスは前回対戦後に監督交代がありました。いまのチームの印象は?)
「(2連勝で)このところ調子がよく、彼らの良さがよく出ていますよね。相手を見ながら戦い方を変えているので、ウチに対してどのように戦ってくるのかは読めない部分があります。前節はベンチに入っていなかったようなベテラン選手、代表を経験している選手もいて、外国籍選手を含めて個人の能力が高い。ではウチが何をするのかということ、球際や切り替えの部分といったしっかり戦うことができないといけません。泥臭くてもいいので勝点3を取るぞ、というのは選手たちに話しました。応援してくれる方に応えるためにも勝つしかない、と」
(細貝 萌選手の現役引退が発表されましたが?)
「自分が協会のテクニカルスタッフをしていた際、彼が14、15歳のころから知っています。それから代表に入り、海外に行き、たくさんの経験をしてきて、このチームの中での存在感もすごく大きい。大事な選手であるということをずっと感じていながら、なかなか起用できずに申し訳ない思いもあります。彼がメンバーに入ったときには勝点を取れている、というのがありましたのでチームにとって必要な選手だと感じていますし、彼にもそれを伝えていました。練習でも先頭に立ってやってくれましたし、技術練習でも彼の一発のプレーで『こうだよ』というイメージを伝えやすかった。引退というのは彼の決断ですが寂しさがあり、一方でもう少し力になってあげたかったという思いもあります。これまでやってきたことはすごいことで、これからはクラブのためだけではなく、日本サッカー界のために仕事ができる選手だと思います。彼がノッているときはチームもノる。これからの3試合は、彼のために、という思いがチームにも出てくればいいですね」
FW 23 平松 宗
(先発して4試合、ご自身の中での感触は?)
「守備で相手をハメにいけている部分はあるし、動き出しで裏に抜け出せているところはありますが、そこから点を取るためにチーム内で要求し合うことも必要だと思っています。個人的にはボールを受けてそのままゴールにいけるような流れをもっと作りたいと思っています。動き出す位置を考えて、もう少しゴールの近くでボールを受けられるようにできればいいと思っています」
(前線での和田 昌士選手との連係も良さそうに見えますが?)
「マーシー(和田)は1.5列目のところでうまくタメを作ることがうまい選手です。SC相模原でも一緒にプレーしていましたし、彼の特長は分かっています。ダイレクトでパスをつなげられるような関係を作りたいと思っているはずなので、そういったプレーも引き出せてあげられれば、あまり下がらずにプレーできるようになると思っています。その関係性はもっと深めていければいいですね」
(ホーム最終戦となる徳島戦に向けて)
「ホームゲームのラストですし、絶対に勝たなければならない試合です。それに、ホームでたくさんの群馬の方に見てもらうハジさんにとって最後の試合になるかもしれません。絶対に勝って、いいセレモニーにしたいと思います。ハジさんがやるなら自分もやらないといけない、という思いにいつもなっていました。あれだけのキャリアがある方がモチベーションやコンディションを落とさずにやっている。ピッチではないところでのケアなどを見てきて、本当にすごいと思っていました。それがプロだと思いますし、自分もそういうところをマネできればと思っています」
MF 44 仙波 大志
(前節の栃木戦を振り返って)
「風の影響もあって、前にボールを蹴るようになった側面はあったと思いますが、相手がロングボールを蹴る展開で、それに少し付き合う部分もあったので、もう少しパスをつないで揺さぶることができればよかったと思っています。(平松)宗くんの動き出しは結構見やすいですし、ありがたいですね。それにマーシーくん(和田)のプレースタイルもでていますし、もっとゴールに向かうことができればと思っています。例えばクロスに関しても、アーリークロスを増やすよりももっと中まで入って、ポケットをとっていく回数を増やせればいいですね」
(守備については?)
「ボランチを組んでいるアマ(天笠 泰輝)が僕のぶんもやってくれているので、それは本当にありがたいです」
(今節・徳島戦に向けて)
「ホームで勝って、そのまま勢いに乗って残り3試合をすべて勝ちたいと思っています。個人的にも、セットプレーなどキックを思いどおりのところに蹴られるようになっているのでアシストしたいですね」
(引退が発表された細貝選手について)
「プレーする機会は少なかったですが、これまで群馬に貢献されてきた方というのは、見ればすぐに分かることでした。ハジさんには、こういう成績になった中で引退させてしまうことに対して申し訳ない気持ちでいっぱいです」
DF 36 中塩 大貴
(前節・栃木戦について)
「北関東ダービーで、勝ち以外はないという試合で引き分けに終わってしまいました。本当に大事な試合で、残念な思いをさせてしまったという思いです。自分のビルドアップでのミスも多かったことは反省していますし、もっと攻撃につなげられればチャンスを作り出せたと思っているので、改善できるようにしていきます。次は今季のホーム最終戦。いつも言っていることですが、僕たちが何を表現できるのかということにフォーカスしてやっていければと思っています」
(負傷者も復帰するなど、チーム内競争が増している印象を受けますが?)
「試合に出るまでにはチーム内で競争があって、その競争があるからこそレベルが上がってチームが強くなっていくものです。選手それぞれの特徴を組み合わせることで、よりいいものにしていきたいですね。自分であれば、前にいる(川本)梨誉、(山中)惇希、(和田)昌士という選手の特徴をもっと理解して、いろいろなバリエーションのプレーができればいいと思っています」
(細貝選手の引退が発表されましたが?)
「自分が浦和レッズジュニアユースのとき、トップチームでプレーしていたのがハジさんでした。そんな選手と一緒できて幸せですし、ハジさんから学ぶモノは多かったです。その人柄、プレーを間近で見られたことを自分の中でどう糧にしていくのか。それは自分次第だと思います。最後の3試合、頑張っていきたいです」