FW23
平松 宗Shu HIRAMATSU
ザスパ群馬
群馬
正田醤油スタジアム群馬
1前半 2
1後半 1
試合終了
ロアッソ熊本
熊本
前半 | 後半 | 計 | データ | 計 | 後半 | 前半 |
---|---|---|---|---|---|---|
9 | シュート | 12 | ||||
4 | CK | 9 | ||||
GK | ||||||
10 | FK | 11 | ||||
オフサイド | ||||||
0 | PK | 0 |
GK 21 櫛引政敏
DF 34 小柳達司
DF 37 瀬畠義成
DF 22 高橋勇利也
MF 5 川上エドオジョン智慧
MF 44 仙波大志
MF 15 風間宏希
MF 17 山中惇希
FW 28 樺山諒乃介
FW 14 川本梨誉
FW 23 平松宗
GK 42 石井僚
DF 24 酒井崇一
DF 29 田頭亮太
MF 6 天笠泰輝
MF 7 和田昌士
FW 9 北川柊斗
FW 32 河田篤秀
武藤覚
GK 1 田代琉我
DF 3 大西遼太郎
DF 24 江﨑巧朗
DF 13 岩下航
MF 21 豊田歩
MF 8 上村周平
MF 19 古長谷千博
MF 15 三島頌平
FW 9 大本祐槻
FW 18 石川大地
FW 16 松岡瑠夢
GK 23 佐藤優也
DF 2 黒木晃平
DF 5 阿部海斗
MF 7 竹本雄飛
MF 17 藤井皓也
MF 30 東山達稀
FW 20 大﨑舜
大木武
本日行われました「2024明治安田J2リーグ第33節vsロアッソ熊本」の試合後監督記者会見における武藤監督のコメントをお知らせいたします。
武藤 覚監督
「昨日の時点で降格圏で終わることが決まってしまって難しい状況の中、選手はよく戦ってくれました。最後の失点は今季を象徴するようなものでした。認めたくないですが、ああいう失点をするのが現状です。ただ、2点を取れたこと、選手がトライしてくれたこと、プレーしてくれたことはポジティブな部分だとは思っています。
失点のところは、寄せが甘かったり、リスタートの崩れからでした。最後の失点も、勝負強さが足りなくて勝点を取り切れないという今季の課題が出てしまいました。それは僕の反省すべきところで、選手ともそこは共有しながら残りの試合をやっていきたいと思います。
今日は『群馬マスコミ3社 スペシャルマッチ』ということで盛り上げてくれました。こういう状況でもスタンドに見に来ていただいた方に応えないといけないゲームでしたが、そういうゲームでもこうやって負けてしまったことはすごく悔しいですし、反省しています。ただ残り5試合、しっかり戦いたいと思います。ホームも2試合残っていますし、しっかり勝てるように準備しながら、選手とともに頑張りたいと思います」
(試合前日に降格圏が決定した中で迎えた試合でした。試合前、選手にはどんなことを伝えたのですが?)
「サッカー選手である以上、応援してくれる方がいて、今まで一緒に戦ってきた仲間もいます。支えてくれる人たちがいる中で、それに応えることが僕らの使命です。選手たちに、『やらないといけない、ということではなくて、自分たちがトライする姿、勝つために一生懸命に、必死に、がむしゃらに戦う姿を見せることが大事。やれることをしっかりやろう』と話しました。メンバー外の選手のトレーニングを含めて、しっかりとやってくれたと思います。メンタル的に厳しい状況の中、選手は現状をしっかり受け入れて、トライしてくれた部分はよかったと思います」
(試合後、いつもに比べて長い時間、選手に話をしていたが?)
「ショッキングな終わり方で.勝点を逃してしまいました。ああいう終わり方をしてしまったのは僕の責任であり、選手に謝罪しました。ただ、『応援してくれるサポーターの皆さんや、スタンドに駆けつけてくれた方にはしっかり挨拶をしよう、お礼をしながら、また応援してもらえるように、しっかりした態度を見せよう』という話をしました」
(今季のリーグ戦では(ホームゲームで)初めての2得点。仕掛ける姿勢や追い越す動きから生まれたが?)
「選手は前向きにやってくれました。ゴールに向かう姿勢というものが、サポーターや応援してくれる方々、映像で見ている方には伝わる部分だと思います。前に向かう姿勢、走るという回数と人数を増やそうというのはずっと言ってきましたが、こういう状況でメンタリティーの中でもそれを出してくれたと思っています。それが実際に点につながったことは評価できますし、今まで取れていなかった2点目が取れたことは良かったと思います」
(J3降格圏の18位以下が確定したが?)
「シーズン途中で監督を引き受けて、勝たなければならない、負けてはいけない中で、その勝点を取り切れなかった。勝点を取れるチャンスもあったのに、それを逃してしまうゲームが続きました。今日のゲームもそうですが、そういうゲームが続いたことは僕自身反省しないといけないし、チームとしてというよりは、僕の責任もあります。それは反省しないといけないところで、受け止めて、やれることをやるしかないという思いでいます。
選手がやろうとしていること、トライして出そうとしてくれている中で、その力を引き出せなかったところが僕の力不足だと思っています。勝点を取れるゲームで取れないことが多いですし、そういう積み上げがこういう結果になってしまいました。6試合を残している中でこういう結果が出たのが情けないし、悔しいです。ただ、先程お話したように、それを選手と受け止めて、やれることをやるしかないという思いでいます。残りの試合でしっかりとしたパフォーマンスを出すことが僕らの使命だと思っていますので、応援してくれる皆さんに応えるべきものがあるので、それをやっていかないといけないと思っています」
(今季、勝利を積み重ねることができない状況が続きました。どこに課題があったと思っていますか?)
「攻撃に関しては、やはり得点を取れていないというものがあります。今日は2点を取れましたが、そういう姿勢をもっと出さないといけません。選手たちがトライをしてくれている中で、その回数を増やす、質を上げることは日頃のトレーニングでやるしかないです。チャンスは作っているのに点を取れない。ここ最近はチャンスを増えている実感があったので、そこで2点を取れたことはよかったと思います。
失点場面では、最後のシーンのように寄せが甘いことや、リスタート崩れの失点が続いています。失点が多いとなかなか勝点を取れないのでこれは個人の問題ではなく、チームのこととしてとらえて、修正していかないといけません。」
(5月に監督を引き受ける形になったが、もし開幕から指揮を執っていれば、と思うところはありますか?)
「考えたことはないですが、試合数はかなりこなしましたし、いろいろなゲームをさせてもらっている中で修正できなかったという事実は残っています。もっと課題を修正して、自分たちの積み上げができるようなタイミングはたくさんありました。勝点を取れる試合で取れなかったのは、僕の力不足があると思っています。それがシーズン頭からならできていたか、途中からの就任だったからできなかったかはわからないですが、選手がやってくれているぶん、しっかりと勝点を取らないといけなかったゲームはたくさんありました」
(J3降格を避けられなかったという意味で、責任を問われると思うが?)
「僕がいまできることは、あと5試合やり切ることです。来年のことについてはクラブと話さないといけないですが、いま、そこのことは頭にまったくありません。次の千葉戦をしっかり戦うことしか頭にないですし、選手とともに頑張って1試合ずつやるしかないと思っています」
FW23
平松 宗Shu HIRAMATSU
(得点場面について)
「練習でやってきた形でした。あの形については(川本)梨誉とも話していましたし、(前節の)V・ファーレン長崎戦ではゴールから外れた位置に入って取れなかったので、(クロスに対する)入り方を練習から意識してやってきました。そこを修正して、うまく入れられてよかったです」
(その後、失点を重ねて、最後は敗れましたが?)
「2点目を取れる場面はありました。自分がチャンスで決めていれば、もっとラクにゲームを進められていたと思います。それは自分の責任です。勝たなければいけない、とみんなでそこを目指していましたが、細かい部分で課題が残っています。攻撃面ではもっと落ち着いてできるように前線でタメを作ることもそうです。うまく守備でハメられた部分もありましたが、そこからの精度も大切です。今日できたことを、次の千葉戦でもっと出せればいいと思っています。」
(残り5試合に向けて)
「変わらず、勝たなければならない試合が続きます。みんなで勝ちにこだわって、サポーターの皆さんに伝わるようなゲームをしなければいけません。練習から、みんなで声を掛け合っていきたいです」
MF17
山中 惇希Atsuki YAMANAKA
(試合前日に降格圏が確定した中で迎えた試合でしたが?)
「昨日、(大分トリニータの)試合を家で見ていました。試合前に決まってしまったことはむなしい思いになりましたが、それも自分たちが招いてしまった結果です。今日、スタジアムに入ってきたときに、たくさんの方々がいて、この人たちに見せなければならないものがあると思いました。来てもらった以上、いつも言うように楽しんでもらって帰りたいという思いをもっていました。やるからには勝ちたいですし、来てよかったと思ってもらえるようなプレーをしたいと思っていました。それを意識してプレーしました」
(1点目も2点目も得点の起点になりましたが?)
「ずっと僕が出したかったプレーをやっと出せました。1点目も起点になることができました。(川本)梨誉のクロスもすごく良く、(平松)宗くんの入り方もよかったことで点になったと思います。2点目(につながるドリブル突破)は、ロアッソ熊本がマンツーマン気味の守備をしてくるのは分かっていましたし、それを剥がせればチャンスになると思っていました。それが得点につながってよかったです」
(ご自身のチャンスもありましたが?)
「映像を見たのですが、切り返せずにそのまま打ったほうがよかったかもしれません。ああいう場面をもっと増やせればいいと思いますし、そこで決めきれるかどうかが今日の勝敗にも関わっています。もっと練習します」
FW28
樺山 諒乃介Ryonosuke KABAYAMA
(降格圏でシーズンを終えることが決まった中で迎えた試合でしたが、どんな思いで臨みましたか?)
「期限付き移籍で加わった身ですが、このチームを残留させるために来ました。それが叶わずに、昨日は悔しい気持ちになりました。いろいろな意見はあると思いますが、こうやってスタジアムに足を運んでくれるサポーターがいます。中継で見て応援してくれる人もいると思います。今日、バスでスタジアムに入ったときに、最前列で子どもたちが旗を振って応援していました。こうやって負けが続いている中でも、それに自分たちにいろいろな声が飛んでいる中でも、そういう子どもたちも旗を振って応援している――。自分は、子どもたちに夢を与えられるような選手になりたい、と思ってやってきました。今日はザスパを応援してくれる子どもたちのために、いま自分ができることをしようと思って臨みました。それがゴールにつながったのは良かったと思っています」
(守備でも最終ラインまで戻るなど、献身性を見せていましたが?)
「熊本とのゲームはこういう(攻め込まれる)展開になると思っていました。失点してしまいましたが、守備でじれずに頑張って、攻撃でも良さを出したいと考えていました。でも、3点を取られて負けてしまっています。それ以上に自分たちが点を取れるように、点を取れるような選手になっていきたいです」
(加入後初ゴールについては?)
「最初はクロスを自分が詰めるつもりでいましたが、後ろでエドくん(川上 エドオジョン智慧)がヘディングをしました。そこでたまたま自分の前にボールが落ちてくれたので、ラッキーだったと思います。気持ちで押し込むだけだったので、足を振り切りました」
(残り5試合に向けて)
「今日のようにゴールを決めること、細かい守備の部分を積み上げていきたいです。こういう状況の中でも応援してくれるサポーターはいるので、一人でもそういう方がいる限り、その人のために全力で頑張りたいです」
(今日はお子さんと入場されていましたが?)
「初めてのことで、一つの夢でした。そういう試合でゴールを取れたことを、将来子どもが大きくなったときに話をしたいです」
強い思いで臨むも及ばず。
ショッキングな幕切れ
試合前、この日も選手を乗せたバスに対して声援が飛ぶ。最前列に旗を振る子どもの姿を見た樺山 諒乃介は、以前の正田醤油スタジアム群馬でのある場面がフラッシュバックしたという。
ホームで敗戦した際、挨拶のために向かったゴール裏で、ファン・サポーターのさまざまな声が選手に飛ぶ。その声を背中で聞きながら、選手たちをじっと見つめるゴール裏最前列の子どもたちの姿を樺山は想起した。「そのときの子どもたちの姿を見るのが結構つらくて。そういう子どもたちに夢をもたせてあげられるようになりたいと思っていたから、今日はザスパを応援してくれる子どもたちのために、いま自分ができることをしようと思って今日は臨みました」(樺山)。
樺山は、今季途中に期限付き移籍で加入した選手だ。彼のように、下位に沈むチームと理解した上でザスパ群馬に加わった選手は多い。その一人である川本 梨誉は「残留させるために戻ってきたのに、すごく悔しくて、本当に申し訳ない」と言った。その思いは、今季はじめから在籍する選手たちも同じだ。9月29日に行われた明治安田J2第33節・ロアッソ熊本戦の前日、17位の大分トリニータが勝利したことで、群馬の今季18位以下が確定。それはもうJ2残留圏に浮上できないことを意味していた。
「自分たちで招いてしまった結果だが、試合前にそれが決まってしまって、虚しい気持ちになった」。山中 惇希も無力を悔いた。その上で、「スタジアムに来たら、たくさんの人たちがいた。この人たちに『来てもらってよかったと思ってもらうプレーをしたい』と思った」。
武藤 覚監督も、「サッカー選手である以上、応援してくれる方がいる。一緒に戦ってきた仲間がいる。その思いに応えることが使命。勝つために一生懸命戦う姿を見せることが大事だ」と選手に投げかけたという。こうして、各々が自身の胸に全力プレーを誓って臨んだ試合だった。
チームとしてどう戦うかは、しっかりと整理されていた。3連勝中の熊本の攻撃を、コンパクトな陣形で構え、さらに背後へのボールをケアしながら守る。「相手にボールを持たせている感じでいこう、と話していた」と風間 宏希。前節・V・ファーレン長崎戦の前半で機能した守備と似た形だ。そして27分、先制点が群馬に入る。左サイドで風間と山中が好連係から前進。相手を引き付けた山中が、サイドの高い位置に走り出した川本にパスを送った。川本が中央を見ると、平松 宗がDFを振り切って飛び込んでいた。そこに合わせて、ゴールネットが揺れた。
「(走り込んだ)あそこのスペースは開くと聞いていた。(山中に)練習から求めてきた結果、そこに出してくれた」(川本)
「長崎戦の反省で、ゴールから外れた位置に入っていかないよう、ゴールの幅の中に(走り込んで)いくことを意識した」(平松)
前節の反省を生かした、素晴らしいゴールだった。しかしその後、前半のうちに2失点を喫して逆転されてしまう。1失点目はシュートが相手に当たって軌道が変わっており、2失点目は右足アウトサイドでの素晴らしいシュートと不運もあった。それでもボールへの寄せが少し甘くなり、またもCKから失点するなど課題としては変わっていない。
1点のビハインドで迎えた後半、チームにとって待望の“2点目”が入る。これも左サイドからで、交代出場の天笠 泰輝と山中のコンビネーションから深い位置まで入り、山中が得意のドリブルで相手をかわしてクロス。川上 エドオジョン智慧のヘディングは間一髪のタイミングで防がれたが、こぼれ球の先には樺山の姿があった。守備でも最終ラインまで戻るなど奮闘していた樺山の前にこぼれてきたボールを、強い思いとともにゴールに蹴り込んだ。2-2となり、さらに攻める群馬。対して、3連戦の3試合目だった熊本も自慢の走力を生かしてゴールに向かった。
そして、勝負を決める次の1点が熊本に入った。終了間際の90+2分、左サイドから岩下 航が入れたクロスがそのままゴールに吸い込まれた。
「最低でも勝点1を拾わないといけなかった試合」と武藤監督。3,000人以上が集ったホームゲームでの、ショッキングな敗戦だ。それでも試合後、サポーターは「ここから這い上がるぞ」と選手たちに伝え、選手自身も「みんなで勝ちにこわだって、皆さんに伝わるようなゲームをしなければならない」(平松)とあらためて決意していた。
文:田中直希(EL GOLAZO)
プロのチームとして。
ただひたすらに勝利を
9月29日(日)、ロアッソ熊本を正田醤油スタジアム群馬に迎えた明治安田J2第33節が行われる。キックオフは18時。27日時点での天気予報は曇り。過ごしやすい気候の中で開催されそうだ。
ザスパ群馬は前節、アウェイの地でV・ファーレン長崎と対戦。チャンスを何度かつかんだものの、それをモノにできず0-2で敗れて2連敗となった。この結果、17位の大分トリニータとの勝点差が『16』まで開き、28日(土)に開催される試合で大分が勝利した場合、群馬の降格圏(18位以下)が確定することになった。なお、大分が引き分けで勝点1を得ると、群馬は勝点3を得ない限り17位以上の可能性を残すことができない。熊本に敗れてしまった場合は、大分の結果に関係なく、18位以下が決まる。
残り6試合の段階でこのような非常に厳しい条件となっているが、オフ明け25日(水)のトレーニングは集中した雰囲気で行われていた。悔しい敗戦から切り替え、サッカーに集中している様子があった。
ボールサイドに多くの人数を割き、近い距離感でショートパスを回す熊本への対策の意図もあっただろう。練習中には「遠くを見ることができれば、その手前のパスコースも見えるはず。意識していこう!」と武藤 覚監督から声が飛ぶ。狭いエリアでの攻守や、サイドチェンジを意識させたメニューが続いた。いい動きを見せる選手の中には、熊本戦が累積警告により出場停止となった佐川 洸介の姿もあった。選手たちは、いまやるべきことに集中している。
副キャプテンを務めている天笠 泰輝はこう語る。
「個人の結果も大事ですが、まずはチームとして成り立たなければ個人も輝かないと思っています。だからこそ、チームにどれだけ貢献できるか。個人の事情よりも、何よりチームとして勝たないといけないので」
天笠は前節で先発から外れた。出場停止だった試合を除けば、それは第14節の清水エスパルス戦以来のことだった。どうにかしてチームに貢献したい。そう強く願いながらも勝利に貢献できない日々が続き、また長崎戦では84分からの途中出場に終わった。忸怩(じくじ)たる思いも抱えるのは確かだ。それでも、第一はチームのことだ。「相手は連勝して勢いがある。僕たちも勢いをもって試合に入らないといけない。一人ひとりがどれだけ次の試合に対して強い気持ちで臨めるかどうかだと思う」。そう熊本戦を見据えた。
熊本はここにきて3連勝。残留争いの真っ只中にいたが、15位まで浮上して危険水域から少し抜け出た感もある。直近は延期分の第30節・ヴァンフォーレ甲府戦。25日(水)に行われた試合に、4-2で勝利。前半だけで4得点と、攻撃陣が爆発した。甲府のボールホルダーへの寄せが甘いと見るや、攻撃に人数をかけて守備を崩し続けた。直近5試合で14得点と、群馬からすれば熊本の攻撃力は脅威となる。
ポイントとなるのは、上村 周平らパスの出し手に対してどれだけプレッシャーを掛けられるかだろう。サガン鳥栖時代に熊本と何度も練習試合をしていたという樺山 諒乃介は、「相手に好きなようにボールを持たせないよう、イヤがるような守備をすることが大事」と話した。
また、「ボールを奪えば、逆サイドが空いていると思う。サイドで起点を作っていい攻撃ができるようにしたい」とも。長崎戦の前半のように、群馬としては統制のとれた守備を続けつつ、ピッチを広く使った鋭いカウンターを繰り出したい。相手は甲府から熊本には帰らず、群馬に入って中3日での試合を迎えるという。試合時間が経てば経つほど、コンディション面での優位性が際立つかもしれない。それを踏まえても、前半のうちの失点は避けたい。
指揮官はこう強調した。「プロのチームとして、やれることはゲームでベストを尽くすこと。勝つためにやること。それは変わらないし、ホームゲームでしっかり勝ちたい」。チームとして戦い、ただひたすらに勝利を目指すしかないのは皆が理解している。やるべきことを全うしたい。
文:田中 直希(EL GOLAZO)
武藤 覚監督
(前節のV・ファーレン長崎戦について。前半は相手の良さを消して0-0で折り返したものの、後半に2失点を喫して敗れましたが?)
「最初のCKからの失点については、まずCKにしないことが必要でした。後半のキックオフから相手のCKを与えてしまい、それが何回か続きました。CKでの長崎さんの狙いも予想していた上で、当然対策はしていたつもりですが、上回られてしまいました。そのあとに2失点目を喫してしまいましたが、ああいった(ミスからの)形だとメンタル的に難しくなりますし、長崎さんも『やられなければいい』というメンタルになって崩すのが難しくなります。長崎さんはこれまで4敗しかしていないチームで、勝負強さがありました。チャンスは作れていましたが、点を取れなければ勝点は取れません。それはずっと課題として残っています。無得点の試合が多いですし、点を取れるようにしないといけません」
(長崎戦では先発を3選手入れ替えましたが?)
「長崎の良さを消したいというのも当然ありましたし、練習の中で良かった選手、それに(前々節の)モンテディオ山形戦で良かったカバ(樺山 諒乃介)とエド(川上 エドオジョン智慧)の連係を見てその流れは組んだつもりです。選手が自信を持っている部分については背中を押すことを考えましたし、少し変えたほうがいいと思った部分があって(変更しました)。先発した平松 宗については、練習からしっかりやってくれていましたし、相手が長崎というのも(起用の意図として)ありました。期待通りのプレーはしてくれたと思います」
(今節のロアッソ熊本戦に向けて)
「長崎戦で良かったところはたくさんありました。ただ、勝負を決めるという部分では足りません。勝利につなげるためには何をしなければならないか、ということは選手に伝えています。絶対に失点してはいけない、失点したあとに下を向いているといけないというのはありますが、できたことについては認めるべきですし、それはプラスになっていると思います。いまの状況が状況ですし、結果にはこだわらないといけません。プロのチームとして、ホームゲームでベストを尽くして勝つためにやる。それしかないんです。ホームゲームでは勝たなければならない、ということをあらためてみんなで共有していきます」
(相手の熊本について)
「大木 武監督が率いるチームらしさ(同サイドに人数をかけるパスサッカーという攻撃に)に加えて、ブラッシュアップしているように感じますし、それぞれの選手の良さが出ています。ザスパ群馬として、練習から競争をしようということはずっと言ってきましたし、そこでいい選手を使いたいと思っています。みんなしっかりと集中して練習しているので、だからこそ勝って自信をつけてあげないといけないと感じています」
MF 17 山中 惇希
(前節の長崎戦を振り返って)
「相手のデータで、前半に得点が多くて、失点は少ないというものがありました。前半を0-0で終えたいという気持ちが強かったので、守備をかなり意識して入りました。同じサイドにいた相手の外国籍選手2人(マルコス・ギリェルメとマテウス・ジェズス)を止めればピンチは少なくなると思っていました。その対応はできていたと思いますが、攻撃の形をもっとバリエーション多く出せればよかったという思いがあります。(川本)梨誉との距離が遠く、少ない人数でどうやり切るかという形になっていました。積極的にしかけるのか、一度戻してやり直すのかの判断が難しかったというのはありました。
失点はセットプレーとミスからでした。チームとしてやられていた感じがあるかというとそうではないのですが、結果は0-2。修正しないといけないと思います。チャンスで点を取れていれば、というのもあるので、クロスの質を上げることは課題ですし、もっと深くまで崩していくシーンを増やせればいいと思っています。必死さも必要ですが、少し余裕を持ってプレーすることも大事です。シュートを打てるチャンスを逃さないようにしてチャレンジしながらも、うまく判断できればいいと思います」
(今節の相手・ロアッソ熊本について)
「これまで何回も戦ってきた中で、守備はマンツーマン気味で、人に対して厳しくくる印象があります。同じゾーンに選手が何人もいる状況を作って攻めるので、対応は苦しくなるときはあると思います。しっかり構えて守り、粘れるところは粘って、自分たちの時間で攻撃をしていければ。人に対して厳しく来るということは、そこで相手を1枚剥がすことができればチャンスになるということでもあります。自分の良さをその場面で出せればと思います。どちらが走り勝てるか、という側面もあると思うので、そこで勝っていきたいですね」
(残りの試合に向けて)
「6試合、応援してくれる人たちのためにも絶対に勝たなければならないですし、いいものを見せなければいけないと思っています。お金を払って見に来ていただいている以上、楽しんでもらわないといけません。サッカー選手としてやれることをやっていきます」
MF 37 瀬畠 義成
(契約上の理由で出場できなかった長崎戦を、どう見られていましたか?)
「相手の良さを消しながら、やり合えるシチュエーションは作り出せていたと思います。勝たなければいけない中で、点を取りに行くときにピッチ内でどうマネジメントしていくのかというのは課題になっていると思います」
(今節の熊本戦に向けて)
「近い距離感の中に選手を集めて、ショートパスをつないでいくやり方をずっと志向されています。対策は打ちやすいですし、そこに対して準備していければいいと思っています。熊本さんは失点も多いほうなので、そこを突ければ。どこかでリスクを取って出ていかないといけない状況なので、どこで出ていくのか。そのマネジメントがポイントになると思います。立ち上がりからいくのか、前半は0-0でOKなのか。試合になってみないとどういう状況になっているか分からない部分がありますが、ピッチの中の感覚と、ベンチの感覚を合わせていきたいですし、すり合わせていきたいです」
(次はホームゲームになります)
「この順位にいる以上、それがいまの実力だと思います。であれば、ハードワークすること、球際にいくことなど、どの監督のもとであろうが求められることをやりつつ、やはりどうマネジメントしていくかだと思います。どこでパワーを使い、どこでリスクを冒していくか。チームとして厳しい状況にいるからこそ、共通認識をもって戦うことが必要です。結果がすべての中で、ではどうすればいいか。答えを探しながら、少しでも勝率を上げられるような準備ができればいいと思っています」
FW 28 樺山 諒乃介
(前節は6試合ぶりの先発となりましたが?)
「少ないボールタッチ数の中でもチャンスは作れたと思いますし、個人の手ごたえとしては良かったです。得意としているエリアからのシュートもありました。でもゴールを取りたかったし、アシストもしたかった。チームのために結果を出したかったです。前半はうまくいっていたので、勝てるかなと思っていました。でも後半の入りのところで失点してしまい、厳しくなりました。
攻撃のクオリティーをもっと上げれば、得点は取れると思っています。自分が入ったからには決定力を上げていきたい。前半も後半もチャンスはあったわけで、そこで決められていれば流れは変わっていたと思います。自分が変えていきたいです」
(今節・熊本戦に向けて)
「熊本とは(サガン鳥栖在籍時代に)よく練習試合をやっていました。相手の思うようにボールを持たせないよう、守備でプレッシャーを掛けていきたいです。ポゼッションがうまいチームなので、そこはみんなで守備するしかないと思います。自分も頑張って戻って守る必要があります。それに、奪えば逆サイドにスペースが空いていると思うので、サイドの自分やエドくん(川上 エドオジョン智慧)、(仙波)大志くんで起点を作って、良い攻撃ができるようにしていきたいですね」
(残り6試合に向けて)
「できる限りのことをやらないといけないと思います。サッカーは点を取るスポーツなので、どんな状況になったとしても、自分たちが点を取るなど、ファン・サポーターに喜んでもらえるプレーをできればと思っています」